村山談話・河野談話に未来はあるか?
第21回 朝日新聞スクープ「軍の関与」資料の中身
戦地におかれていた慰安所に「軍の関与」があることなど、
当時を知る人や研究者にとっては常識であり、
それが問題視されるとは誰も思ってもいなかった。
そもそも、戦地で「軍の関与」が一切ないものを探す方が
難しいはずで、移送ひとつするにしても自力で勝手に動ける
わけがなく、「軍の関与」があるのは当然の話だったのである。
だから国会答弁で官僚や加藤紘一官房長官(当時)が
「軍の関与は確認されていない」と言った時、
本人の意識としては当然「強制連行に」軍の関与はないと
言ったつもりだったはずだ。
だがそのほんの少し舌足らずだったところを捕まえて
朝日新聞は、政府がどんな形の「軍の関与」も一切なかったと
言ったかのように歪曲し、当時としてはあって当たり前の
「軍の関与」を大問題であるかのようにでっち上げて
しまったのである。
その陰謀記事において、「軍の関与」の証拠として載せられた
資料は3点あった。
1点はすでに紹介した「軍において適切な業者を選定し、
社会問題を起こさないようにせよ」という通達。
もう1点は、戦地後方の状況報告書で、慰安所設置の状況や
従業者の人数、衛生状態などが記されている。
このような状況報告などはやっていて当然、
むしろしていなかったら問題であろう。
そして3点目は「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件
通牒」と題した文書で、軍占領地域の治安回復が進まない
原因の一つとして、一部の兵の不法行為が住民の怨嗟を
買っていることを指摘している。
そして強姦事件の話が広まり、深刻な反日感情が起きている
として、「強姦は単なる刑法上の罪悪に留まらず、
治安を害し軍全般の作戦行動を阻害し、
累を国家に及ぼす重大反逆行為」と言うべきだと激烈に
非難している。
そしてこのような行為を厳重に取り締まると共に、速やかに
性的慰安の設備を整え、これが無いために犯罪に走る者を
出さないようにすることを緊要とすると記していた。
どれも当時の軍としては、やっていて当然、
むしろしていなければおかしいと言うべき「関与」だったのだ。
だが、現代の女性、特にフェミニズム系の女性には、
この「強姦という犯罪を抑止するために慰安所を作った」
という事実と論理そのものが反感を買う。
「男は強姦するものだと居直るのか?」というのが、
彼女たちの怒りの理屈なのだ。
ここを次回、もう少し説明しておかねばならない。